デッド・ゾーン その2

キング「デッド・ゾーン」の原作を読んだ。映画については以前書いた。「ザ・スタンド」と同じ時期に書かれたらしい。
http://d.hatena.ne.jp/kwaizu/20080709#1215610440
僕はキングの長・中編はあまり読んでいないのだが、キング自身が勧めている通り「デッド・ゾーン」はきれいにまとまっていてよく出来ている。あまりにきれいすぎてちょっと不満なくらいだw

デッド・ゾーン〈上〉 (新潮文庫)

デッド・ゾーン〈上〉 (新潮文庫)

デッド・ゾーン〈下〉 (新潮文庫)

デッド・ゾーン〈下〉 (新潮文庫)

映画はかなり原作に忠実であるが、いくつかのエピソードが尺の関係で変わっているのと、ジョニーの母親の位置づけが軽い。原作小説におけるジョニーの母親は「デッド・ゾーン」の主題において拡がりを持たせる意味でとても重要で、原作は映画以上に奥が深い。
普通に考えれば父親が正しくて、母親が誤っていたと捉えられるのだがジョニーが問題に直面するにつれては、母親の言葉が非常に重い意味を持ちはじめる。
そして彼が最後にとった行動の結果もまた非常によく出来ている。これ以上ないくらいの結末だ。(ここは映画も同じ)
最初のお祭りでの描写など、キングらしい軽妙で面白い文章も満載で、キングならではの宗教観のようなものもよくまとまっている。まだキングの本を読んだことのない人は是非手にとってみると良いと思う。文章量的にも最適だろう。
ちなみにホラーテイストは全くないから、そういうのが苦手な人でも純粋に楽しめると思う。