新版大東京案内

今和次郎さん編の「新版大東京案内」を読んだ。編とは言ってもそれぞれの著作者は明記されていないし、気にならない。

新版大東京案内〈上〉 (ちくま学芸文庫)

新版大東京案内〈上〉 (ちくま学芸文庫)

新版大東京案内〈下〉 (ちくま学芸文庫)

新版大東京案内〈下〉 (ちくま学芸文庫)

読んでいるときはとても面白くここに記したいことも多々あったが、読み終わってから時間がたってしまったので面倒くさくなった。
さすが考現学だけあって、いちいち統計的(?)な数字が付与されているのが面白い。例えば、店ごとの芸者の時間当たりの代金とか、私娼となったいきさつについてのアンケートなど。さらに数多く挿入されている写真や、当時の広告なども今見ると珍しく、楽しい。建設中の現・国会議事堂など変なものが多い。
考現学は「現代に対する考古学」であるがこの本における「現代」とは関東大震災から復興しつつあるモダンへの過渡期だ。芸者たちがカフェーの女給に取って代わられ、新宿が新たに交通の要として栄え始め、デパートが、地下鉄があらわれたモボモガの時代。そんな中に今でもある店の名前などを見つけるとなんだかうれしい。しかも、高等学校の欄で我が母校の名前が挙がっていた。調べてみると母校の創立は関東大震災の1年前とある。
個人的には省電*1の(?)女車掌ブームや、デパートの混雑にまぎれてご婦人方に何かしようとする輩が日に1人は捕まるという話、田舎から出てきた女性が見舞われるかもしれない危険などのほんのちょっとした話にとても興味を持った(全部女性がらみかよ>俺)
僕は世事に疎いので今でもある銀座の店などよく知らないことが多いのだが、その点、相方は興味を持ったようなので貸した。

*1:現・JR。市電は省電にとって代わられつつあった。