いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか

そういえばルドルフ・シュタイナー「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」を読了した。

平静と孤独の中に留まれ。神秘修行以前に感覚が汝に与え続けてきたものに対して感受性を閉ざせ。これまでの習慣化した思考のいとなみを一切停止させよ。内的にまったく静粛、寡黙になれ。そして忍耐強く待ち続けよ。そうすれば高次の世界が汝の魂の眼と霊の耳を生み出してくれるであろう。汝のそのような実践だけが高次の感覚の育成に役立つ。そして魂で見、霊で聞く能力は、汝がそれを所有し得た時はじめて行使すればよい。それまでは平静と孤独の時間を持つ一方で、汝の稼業にも専念せよ。そして「ふさわしい成熟に達したなら、いつかはそうあるべき自分になるであろう」という想念をその間にも深く心中に刻み込んでおけ。恣意的に高次の力を引き寄せようなどとは決して思うな。
ルドルフ・シュタイナー「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」

僕はあまり詳しくないがシュタイナー教育は彼の人智学に基づく教育を意味するらしい。引用したのは神秘学に参入しようとする学徒に対して与えられる導師からの教えだが、相互に依存しあっていることを認識し、分離し、制御することを段階的に行う神秘学においてすべての前段階ではやはり待つことが必要らしい。「求めよ、さらば与えられん」というのは誤解を招きかねない。
導師と学徒の関係などグノーシス主義に基づくだけあって中々まっとうで素敵に思えるが、やはり神秘主義において求められる人間像は実にハード。外面的には普通の好人物であれというのに等しいが、実際には表に出さなくても内面においてもそのようであることが求められる。肉体を通じたコミュニケーションだけでなく心的なレベルでのインタラクションを想定する神秘学においては当然であろうが、これは結構厳しいなあ。