侵略者の平和

林譲治さん*1の「侵略者の平和」三部を読んだ。一時閉幕。このエキドナ事変の50年後を舞台とする続編が「暗黒太陽の目覚め 上・下」として発刊されているらしい。
ちなみに個人的には表紙はともかく、挿絵はやめてほしかった。

侵略者の平和〈第一部〉接触 (ハルキ文庫)

侵略者の平和〈第一部〉接触 (ハルキ文庫)

侵略者の平和〈第二部〉観察 (ハルキ文庫)

侵略者の平和〈第二部〉観察 (ハルキ文庫)

侵略者の平和 (第3部) (ハルキ文庫)

侵略者の平和 (第3部) (ハルキ文庫)

好き嫌いの好みで言えば、やはりあまり好きではなった。でも、人間とは何かということ(こ難しいことじゃなく、もっと通俗的な意味で)など面白いところはいくつもある。
それでもこの小説でグッとくるのは、やはりその終わり方、第24章「人間」だろう。およそ読み方によってはこんなに後味がわるく、尻切れとんぼのような、読了感のないエンディングもないものだが、逆に言うと僕にとってはこれがなければ思い返すこともない小説になっていたと思う。

夜の地平線が赤く燃えていた。それは異星人の野営地のある方角だった。草木も生えぬ荒野で何かが地平線を照らすほど燃えていた。ノース大佐はそれがレーザー光線の直射を浴びた人体であることをまだ知らない。
林譲治「侵略者の平和 第三部 融合」

このような直接的な表現以上に、読み進むほどにすかっとできない気持ちが残る。著者の意見が明白な形で現れている作品(最近の戦争映画みたいな)とは違った、こういったスタイルは架空戦記ものを書いてきた林譲治さんならではなのかもしれない。
そういえば、林さんと交流のある谷甲州さんも架空戦記でならした人ですな。ハードSF作家はミリタリファンが多いのか?(笑)