ロシュワールド

そういえば、ロバート・L・フォワードの「ロシュワールド」を読んだ。

フォワードさんと言えば、もっぱら「竜の卵」が有名なようだが、こちらを先に読んだ。天邪鬼ですまぬ。
フォワードさんは科学者としても有名であったわけだが、その中でSF的と言えるもののひとつが恒星間航行におけるレーザー推進に関するアイディアだ。送信施設からレーザーセイルによって動力を得て進むのがレーザー推進であるが、問題はどうやって止まるかということだった。宇宙における航行では慣性が重要な問題となる。「ロシュワールド」では異星人との遭遇と共に、この件に関するフォーワードさんの方法*1 *2が実際に描かれている。
ところで、フォーワードさんの自伝*3に書かれている以下のエピソードは笑える。

In 1973 I had a visit from science fiction authors Larry Niven and Jerry Pournelle. I gave them a lengthy briefing on a lot of far-out physics. They took away a lot of ideas on miniature black holes, which they immediately turned into award-winning short stories. They also took away my idea of a laser-pushed lightsail. I had warned them that the light from the Sun was not strong enough to stop the sail, but, being science fiction writers, when they wrote Mote in God's Eye, they ignored my advice and pretended it would work.
http://www.robertforward.com/Fast_Forward_Fifty_Years.htm

他にもフリーマン・ダイソンの名前が出てきたりとなかなか面白い。
さて、内容はと言うと、フラウウェンとロシュワールドのイメージ(ようするに波乗り)に惹かれて読んだのですが、僕にとっては基本的にそれだけであるように思えた。ストーリーというよりガジェットの嵐なので、ネタを知ってしまうともはや得るものがない。
ってか、ここまで書いておいて、この感想はどうなんだろうか。でも「竜の卵」を読もうという気にはなっていない。

*1:Forward, R.L. (1984) Roundtrip Interstellar Travel Using Laser-Pushed Lightsails, Journal of Spacecraft and Rockets, 21, 187-195.

*2:http://www.centauri-dreams.org/?p=175

*3:http://www.uah.edu/library/about/department/forward/index.htmlからたどれる。